肥満症センター
チームで寄り添う 肥満症治療
~保険診療の外科手術も~
当院で肥満症手術への取り組みが始まったのは2017年。2024年4月には肥満症センターが発足しました。肥満症治療に精通した多職種のスタッフが、健康障害に悩む肥満症の患者さんに対し総合的な治療を行っています。
▶肥満症センターのメンバー
上部消化管外科、糖尿病・内分泌・代謝内科、精神科神経科の医師や看護師、管理栄養士、理学療法士など複数の部署・職種が連携して治療にあたります。
【「肥満」と「肥満症」の違い】
BMI(体格指数)が25以上であれば「肥満」に分類されますが、肥満は病気ではありません。肥満で、それに伴う健康障害があるか内臓脂肪の蓄積があれば「肥満症」という病気と診断されます。中でも、BMIが35以上であれば「高度肥満症」となります。
▶肥満症チェック
肥満を放置していると、生活習慣病の悪化や、心筋梗塞や脳卒中のような重大な病気につながる可能性も。ご自身やご家族があてはまっていませんか?
〇BMIが25以上+下記①または②にあてはまる
※BMI=体重㎏÷身長m÷身長m
①以下に1つでもあてはまる健康障害がある
□耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など) □脂質異常症 □高血圧 □高尿酸血症・痛風 □冠動脈疾患 □脳梗塞・一過性脳虚血発作 □非アルコール性脂肪性肝疾患 □月経異常・女性不妊 □閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群 □運動器疾患(変形性関節症など) □肥満関連腎臓
②内臓脂肪への蓄積がある
おへその高さの腹囲
男性:85cm以上
女性:90cm以上
【肥満症治療のポイント】
▶ライフスタイルの改善が不可欠
肥満症においては、減量によって健康障害を改善・解消することが治療の基本になります。食事療法や運動療法、行動療法を取り入れながらライフスタイルを改善することが極めて重要であり、それは薬物療法や外科療法を行うにあたっても変わりません。
▶治療薬が保険適用に
BMI値や合併している疾患などによっては、薬物療法の適応となります。
▶高度肥満症には外科療法も
条件にあてはまる患者さんに対しては、腹腔鏡を用いた外科手術を実施しています。
〇スリーブ状胃切除術
胃の外側の部分を約80%切り取る手術。摂取エネルギーが減ることにより、平均30%の減量につながります。
≪以下の条件にあてはまる方はスリーブ状胃切除術を保険診療で受けられます≫
◎BMIが35以上で以下のうち1つ以上を合併
①糖尿病 ②高血圧 ③脂質異常症 ④閉塞性睡眠時無呼吸症候群 ⑤非アルコール性脂肪性肝疾患
◎BMIが32以上34.9以下で以下のうち2つ以上を合併
①HbA1c(NGSP値)が8.0%以上の糖尿病 ②高血圧 ③脂質異常症 ④閉塞性睡眠時無呼吸症候群 ⑤非アルコール性脂肪性肝疾患
※病状によってはスリーブ状胃切除術に小腸のバイパスを加える術式が適応となる場合もあります。
「TEAM GENRYO(チーム減量)」で
一丸となって患者さんを支える
副センター長
倉橋 康典(くらはし やすのり)
車社会・ネット社会には、環境面でも精神面でも「肥満」や「肥満症」になる要因が多くあります。現代の肥満は決してその人の責任とは言い切れず、適切な医療を受けることが肝心です。肥満症の患者さんは、糖尿病や高血圧といった健康障害を合併しており、また、精神疾患を抱えていることも多いため、当センターでは、減量手術を行う外科医、糖尿病内科医、精神科医が総合的に診療を行っています。私たちが実践しているチーム医療には、管理栄養士、手術室や病棟の看護師、理学療法士も加わっており、それぞれの専門的な視点から患者さんをサポートしています。
私たち「TEAM GENRYO」は、ご自身の状態を改善したいと考えておられる患者さんの思いをしっかり受け止め、患者さんと協力しながら、ともに病気の克服を目指しています。
▼肥満症の予防・改善のために▼
~こんな行動で減量を!~
- 毎日体重計にのる
- よくかんで食べる(30回咀嚼法)
- 夜9時以降は食べない
- エスカレーターではなく階段を使う
- お風呂につかる
- 夜11時から12時までに就寝する
- 1駅分歩く など
〖副センター長より一言アドバイス〗
「△キロやせる」など数字にこだわると、達成した途端に気が緩むもの。目標を立てる際には「毎日△△する」としましょう。記録を付けるのもおすすめです。