私にできるのは、薬に関することだけじゃない
そう気づかせてくれたのは、祖母だった

がんであることを家族にも一切伝えなかった祖母
当時がんセンターに勤務していた私には特に
心配をかけたくなかったのだろう
祖母が亡くなった後、「愛ちゃんへ」と書かれた
大量のメモを見つけた 
そこには「怖い」「眠れない」「ゆっくり眠りたい」
といったその時々の気持ちが記されていた
それは、一人で病気と向き合うと決めた祖母が
薬剤師である私に残してくれた最後の教え 

医師とも看護師とも違う薬剤師としてのまなざしで
患者さんの本当の気持ちに精いっぱい寄り添いたい
そう思うようになった 

今は働きながら大学院にも通っている
悔いのないよう、今できることを全力でやりたい
だから、毎日「今日が最後の出勤日」だと思って
一日一日を大事に、患者さんと向き合っている


薬剤師 原田 愛子