「あの……、お金を……貸してくれませんか?」
ある日、患者さんが相談に来られた

もちろん、お金を貸すことはできない
突然のことで驚いたが、患者さんの話を深く聞くうちに
その人の困っている、悩んでいる声をぞんざいにしてはいけないと思った

「何か、できることはないか」 

気がつけば、患者さんのために動いていた
院内のほかの職種のスタッフにも相談した
本人が住んでいる地域の暮らしや介護などの相談機関にも問い合わせ、
社会保険制度など利用できるものを一緒に探した 

それ以来、患者さんとはもう5年以上の付き合いになる
今でも相談窓口に笑顔を見せに来てくれることがうれしい
 

患者さんやご家族が抱えるさまざまな悩みの相談に乗る
ソーシャルワーカーの仕事 

私たちの役目は“正解”を見つけることではない
患者さんが生きていくための“糸口”を患者さんと共に模索することだ

解決できないこともあるかもしれない
しかし、できるかぎり寄り添い続けたいと思う


ソーシャルワーカー 福神 大樹