部門について

ご挨拶
兵庫医科大学病院 腎移植センターでは基本精神として地道で丁寧な治療を心がけており、患者さんが元気になるお手伝いをしています。
山本 新吾 (やまもと しんご) センター長
部門内体制

当院ではこれまでに411例の腎移植を行っており、現在は月に2件の腎移植を実施しています。腎移植センターは泌尿器科医と移植コーディネーターが中心となり、腎臓内科医、小児科医をはじめ兵庫医大病院の各診療部門が協力して腎移植を行っています。
部門の役割
①兵庫医大病院腎移植センターの実績
当腎移植センターでは昭和58年(1983年)に腎移植を開始し、現在までに411例実施しています。腎移植成績は現状の免疫抑制治療が確立された2000年以後では10年生存率96%、10年移植腎生着率は85%と国内でトップレベルの成績を上げています。血液型不適合、低体重小児腎移植、夫婦間移植、抗体陽性症例を積極的に行い、いずれも良好な結果が得られています。
②腎移植の種類について
腎移植には元気なご家族から腎臓を提供していただく生体腎移植と、亡くなった方から腎提供していただく献腎移植(死後の腎提供は心停止後と脳死状態の両方が法律で認められています)があり、兵庫医大病院では9割が生体腎移植となっています。死後の臓器提供は世界的に不足していますが、特に日本では先進国の中で献腎移植が極めて少ないことが大きな問題となっており、生体腎移植が受けられない患者さんは長期間献腎移植の機会を待っている状況です。多くの患者さんが移植を待ちながらお亡くなりになっているという現実に対して、腎不全の患者さんだけでなく重い心臓病、肝臓病などの患者さんの命を救い新たな人生をはじめられるよう、少しずつでも死後の臓器提供が増加するための啓発活動も腎移植の大事な課題となっています。
③夫婦間移植、血液型不適合移植について
生体腎移植は血縁でないご夫婦の間でも可能で、現在では夫婦間腎移植が3割となっています。また、A型からB型など血液型が合わない腎移植を「血液型不適合腎移植」といい、これも生体腎移植の3割を占めています。夫婦間、血液型不適合、どちらの移植も移植後の患者さんの予後は他の患者さんと遜色なく良好です。
④透析を行わない腎移植について
腎臓病が進行し末期腎不全になった時、以前はまず透析治療を行い、移植を希望する患者さんはその後で腎移植を受けていました。しかし最近では透析治療を行わずに最初から腎移植を受ける患者さんが増加しており、生体腎移植の半分近くを占めています。長期透析を行わずに移植する方が合併症も少なく予後がよいことがわかっています。腎臓内科では腎臓病患者さんに末期腎不全の治療として透析とともに腎移植を紹介して患者さんが選択できるよう情報提供することが増えています。
⑤生体ドナーの安全確保について
生体腎移植ドナーから本当に腎臓を提供してもらっていいのか、ドナーが安全に手術を受けられるのか、腎提供後も変わらずお元気に過ごすことができるか、などについて腎提供を決める前に十分な時間をかけて慎重な評価を行います。具体的には提供の自発的意志確認、全身のチェック、癌検診、腎臓の詳しい検査を行います。また、ドナーの身体的負担を最小限にするため、ドナー手術に腹腔鏡手術を導入し、これまでに200例以上の腹腔鏡手術を安全に実施しています。
診療実績
2021年度は、2021年4月1日~2022年3月31日の実績
2020年度は、2020年4月1日~2021年3月31日の実績
2022年の診療実績
腎移植手術件数 | 14例(生体腎11例、献腎3例) |
2021年の診療実績
腎移植手術件数 | 15例(生体腎11例、献腎4例) |
2020年の診療実績
腎移植手術件数 | 12例(生体腎11例、献腎1例) |