兵庫医科大学病院
精神科神経科

強迫症(強迫性障害)

疾患概要

強迫症(強迫性障害)は、自分にとって無意味ないし不合理と判断される考えや行動を制御できなくなるという症状を特徴とする疾患で、患者さんは症状により強い苦痛を感じ、日常生活にも支障を来たすようになります。強迫症の患者さんは50人~100人に1人くらいの割合で存在していると言われていますが、自身の症状を病気と思わず受診しない人、症状のために外出もままならず、受診できない人なども含めると実際はもう少し多く存在しているのではないかとも言われています。

平均発症年齢は20歳前後と、若い人に多い病気ですが、最初のうちは自身の症状を病気と思わず、受診するのは30歳前後になってからという患者さんも多いです。男女差はありませんが、児童、思春期に発症する症例は男性の割合が高いと言われています。

原因・症状

強迫症の原因はまだ解明されていないことも多いですが、脳神経の情報伝達に関係する物質の機能障害や、神経回路の異常などが関係していると言われています。
強迫症には強迫観念と強迫行為の2つの症状があります。強迫観念は繰り返し頭の中に浮かんでくる考えで、それが無意味、不合理であると分かっていても無視することができずに強い不安、不快感を引き起こします。強迫行為は、強迫観念による不安や恐怖、不快感を軽くしようとする目的で繰り返し行われる行為です。強迫行為によって不安は一時的に軽減しますが、結果的に不安の対象をより脅威に感じることとなり、やり過ぎていると自覚しつつも、さらに強迫行為を繰り返し、止められなくなるという悪循環に陥ります。この様な状況が続くことで強迫観念、強迫行為を誘発する状況、動作などを避けるようになり(回避)、さらに日常生活が大幅に制限されることになります。

検査

強迫観念、強迫行為の種類は患者さんによって様々で、症状の種類によって治療の方針が変わってくることもあるため、「どのような観念、行為があるか」「症状によって生活にどのような影響が出ているか」「症状にどの程度抵抗できているか」などを問診で出来るだけ明らかにして、患者さんの状態を把握します。また、症状の程度などを点数化し、重症度や治療の効果などの判定を行うこともあります。

治療

強迫症の治療には薬による治療と認知行動療法という2つの治療法があり、この2つの治療法を組み合わせて治療を行います。薬は強迫観念による不安を軽減する効果があり、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という種類の抗うつ薬を主に使用します。

認知行動療法は強迫観念と強迫行為の悪循環を断ち切るために、不安の対象を避けない、不安を感じても強迫行為を繰り返し行わない、などの練習を段階的に行い、症状に対する正しい対処法を身に付ける治療法です。認知行動療法は不安な状況に向き合わなければならないため、患者さんにとっては決して楽な治療というわけではなく、また、患者さん自身の治療意欲が重要となるため、まずは薬により不安を軽減しつつ、強迫症の仕組みなどについて心理教育を行い、患者さんに疾患への理解を深めてもらい、治療意欲が高まった状態で認知行動療法を開始していくことが多いです。

メッセージ

当科では強迫症の専門的治療を積極的に行っています。また、強迫症の症状のため自宅での生活が困難になっている症例など、重症の強迫症患者さんに対する入院治療なども行っています。お困りの際はぜひ当科にご相談ください。

精神科神経科

ストレス過多の現代社会を生きるために

精神科神経科では、現代社会において誰もが罹患する危険性があるうつ病や不安症をはじめとして、統合失調症、躁うつ病、認知症関連疾患、摂食障害など精神疾患全般にわたり幅広い診療を行っています。また、これらの疾患に関する臨床研究や基礎研究を積極的に行い、最善の治療を提供できるよう研鑽を続けています。

松永 寿人(まつなが ひさと)診療部長

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