兵庫医科大学病院
精神科神経科

統合失調症

疾患概要

統合失調症は、「考えや気持ちがまとまらなくなる状態」が続く病気です。100から120人に1人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。統合失調症が発症しやすいのは、青年期から成人早期と言われています。約半数は寛解(かんかい:症状が落ち着いて安定した状態)、あるいは軽度の障がいを残して回復します。

原因・症状

統合失調症の原因には色々な仮説がありますが、いまだに不明な点が多く、素因や遺伝、心理社会的因子の相互作用によって発病すると考えられています。発病すると回復後も再発しやすく、多くは慢性に経過します。症状には、脳の一部の働きが健康な時よりも活発になりすぎる「陽性症状」と、脳の一部の働きが健康な時よりも低下してしまう「陰性症状」があります。

陽性症状には「現実には起こっていないことを正しいと思い込む」「悪口が聞こえたり、実際見えないものが見えたりする」などの知覚の障害や、「考えがまとまらず会話がうまく伝えられない」「言葉が理解しづらい」「言葉が浮かばなくなる」といった思考の障害などがあります。

一方、陰性症状には「何を見ても体験しても感情がわかない」などの感情の障害や、「自分の世界に閉じこもり何かをする意欲が出なくなる」といった意欲の障害があります。こうした症状によって日常生活や社会生活に支障をきたしてしまいます。


検査

精神症状が出現している要因については、身体疾患や脳の病気、精神症状が出現するような薬剤の使用や使用歴がないかについて問診を行います。また、必要に応じて血液検査、脳波、脳の画像検査、心理検査などを行うこともあります。精神症状が出現するような身体疾患や薬剤の関連もなく精神症状が出現している場合には、診察と家族からの客観的情報を吟味した上で、統合失調症の診断基準と照らし合わせて診断を行います。


治療

糖尿病や高血圧を治療するように、統合失調症も投薬治療によって症状が改善します。統合失調症の治療段階は「前兆期」「急性期」「回復期」「安定期」の4つに分けることができます。それぞれの時期に特徴的な症状がありますので、焦らずに病状に合わせた治療を続けましょう。回復期から安定期は薬を忘れがちになりますが、継続することで再発や悪化を予防できますので、自己判断で薬を中断しないことも重要です。
当科では、症状や治療の目的に合わせて外来治療および入院治療を行っています。回復期から安定期は、精神科作業療法やデイケアも利用できます。将来の生活に対して不安を感じていらっしゃる患者さんやご家族には、地域と連携して、日常生活および社会生活を支援する福祉資源を利用していくことも大切です。

※当科では、ソーシャルワーカーと連携を取り、ご要望や症状・病期に応じた、地域で利用できる社会資源についてもご案内しています。まずは主治医にご相談ください。

精神科神経科

ストレス過多の現代社会を生きるために

精神科神経科では、現代社会において誰もが罹患する危険性があるうつ病や不安症をはじめとして、統合失調症、躁うつ病、認知症関連疾患、摂食障害など精神疾患全般にわたり幅広い診療を行っています。また、これらの疾患に関する臨床研究や基礎研究を積極的に行い、最善の治療を提供できるよう研鑽を続けています。

松永 寿人(まつなが ひさと)診療部長

交通アクセス

最寄り駅
阪神電鉄「武庫川駅」西出口より徒歩5分
住  所
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

外来受付のご案内

受付時間 8:30から11:00
  • 受付は月~金曜と土曜(第3)
  • 午後の受付は予約の方のみ
  • 土曜 (第3を除く)
  • 日曜
  • 祝日 (成人の日、敬老の日を除く)
  • 年末年始 (12月29日から1月3日)
電話番号 0798456111(代表)
月~金曜、土曜(第3) 8:30から16:45

診療科の一覧を見る

 

よくご覧いただいているページ