診療科・部門

倫理指針に基づく研究情報の公開

診療科・部門

「HLA不適合移植では、患者とドナーが共有しない方のHLA拘束性T細胞は存在するか」に関する観察研究

本学で実施しております以下の研究についてお知らせいたします。
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出ください。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

研究課題名 「HLA不適合移植では、患者とドナーが共有しない方のHLA拘束性T細胞は存在するか」に関する観察研究
倫理審査
受付番号
第3823号
研究期間 2021年 6月倫理審査承認日~2024年 3月31日 
研究対象情報
の取得期間
下記の期間に血液内科を受診された、血液疾患に対して同種造血幹細胞移植を行った患者さん
 2016年 4月 1日~2021年 6月30日
研究に用いる
試料・情報
試料等、カルテ情報
研究概要 (研究の目的、意義)
この度は当科でHLA不適合造血幹細胞移植を受けられた、あるいはこれから受けられる患者さんにご協力いただきたい研究があり、この情報公開文書を書いています。まずそもそもHLAとは各個人の免疫反応を決める型番のようなものであり、1本のHLA遺伝子には4つのHLA座(A, B, C, DRB1)があります。この一つながりをHLAハプロタイプと呼びます(図1)。ヒトは自分のHLAハプロタイプを2本持っていて、子供は両親のHLAハプロタイプのどちらか1本を受け継いでいます。通常はHLAの一致したドナーから移植を行いますが、最近は一部のHLAの異なるドナーからも移植を行うことが可能となってきました。このことは単にドナープールを拡大するだけではなく、不適合HLAに対する強力な免疫反応を利用して、悪性度の高い血液腫瘍にも効果的な治療になると期待されます。

この免疫反応を担っているのが、T細胞という白血球の一種の細胞です(図2)。T細胞は抗原(免疫反応によってやっつけるべき相手)単体ではなく、抗原と自分のHLAのうちの1つの座をセットで認識します。このため自分のT細胞は本来自分にしか、あるいは自分と同じHLA座をもつ人の中でしか働かないということになります。このルールをつくっているのが胸腺という、心臓の上にある小さな臓器です。その仕組みをもう少し詳しくいいますと、まず造血幹細胞から未熟なT細胞ができてきます。T細胞は最初から自分のHLA用に作られるのではなく、ランダムにいろんな種類のT細胞がつくられ、胸腺で自分のHLAにうまく合うT細胞だけが選別されて成熟T細胞となって血中に出てきます。この現象を「胸腺がT細胞を教育する」と表現します。しかし成人の胸腺は瘢痕化していて、それが本当に機能しているのかよくわかっていません。もしかしたら胸腺という組織の形態は取らずに、機能的に胸腺に相当する細胞群がそれを担っているかもしれません。それを明らかにするために、次に述べますHLA不適合の造血幹細胞移植を受けられた患者さんにご協力いただきたいと考えました。

まずHLA不適合移植後に胸腺が全く働いていないと仮定してみます。患者さんとドナーさんが共有するHLA座については問題ありません。一方、不適合のHLA座については、ドナー由来T細胞は本来患者側HLAに合うものは存在しないはずです。でももし移植後の患者さんの血中に患者さん自身のHLAに合うT細胞が見つけられれば、ドナーT細胞はドナーさん自身のHLAに関わらず、移植後に患者さん用のT細胞になっている、言い換えれば「患者さんの胸腺(あるいは胸腺相当の細胞群)は他人のT細胞も“教育”している」ということを、ヒトで初めて証明したこととなります。

(研究の方法)
<検体採取>
血液疾患に対してHLA不適合(HLA半合致、フルアロ、夫婦間、臍帯血、骨髄バンク)ドナーから同種造血幹細胞移植を行った患者さんから、血液中の細胞を検査させていただきます。検体は入院または外来で診療のために採血するときに、1-2か月に1回、スピッツ1本分(血液 5ml程度)を余分に採取させていただきますので、この研究のために新たに針を刺されることはありません。採血は真空採血管ホルダーに接続した翼状針で1回静脈穿刺し、後は必要分のスピッツを順次ホルダーに接続していくので、スピッツが1本増えることは10秒弱採血している時間が延びますが、痛みが増すことはありません。

基本的には新規に移植を受けられる患者さんを対象としていきますが、患者胸腺で教育されたドナー由来T細胞(今回目的としている細胞)は、移植後長期間経った人の方が多く発見できると思っていますので、必要に応じて以前に移植した患者さんの血液も、外来に来られて採血したときに検体として使わせていただきたいと考えます。

今回の研究では、特に患者さんとドナーさんのいずれか、あるいは両方がHLA-A*24:02をもつ患者さんを主たる対象とします(HLA-A*24:02が日本人で一番多く、実験試薬も充実しているためです)が、科学的な研究においては必ず”比較”をすることが重要となります。つまり、同じ条件でHLA-A*24:02以外の場合はどうかということを示す必要があります。これを対照群といいます。このため特定のHLAに関わらず、広く移植を受けられた患者さんの血液を使わせていただきたいと思います。対照群となった患者さんも、上記と同じ要領で、1-2か月に1回、スピッツ1本分(血液 5ml程度)を余分に採取させていただきたいと思います。

検体は単核球に分離してから-80℃で保存して、ある程度検体が集まった時点で実験に使わせていただきます。検体および臨床情報は共同研究施設である三重大学にも提供されますが、匿名化を行い、個人が特定されるような情報は伝わりません。以下に実験の概要を記載します。

 <実験1>
 マルチカラーフローサイトメトリーによるCMV特異的テトラマー解析
 サイトメガロウイルス抗原に反応するT細胞を検出します。同時にそれらがどういうタイプのT細胞かを明らかにします。

 <実験2>
 IFNg産生を指標としたT細胞機能評価
 検出されたT細胞がウイルス抗原と反応したとき、実際に免疫機能を持っているかをみます。

 <実験3>
 抗原と共刺激による、移植後末梢血からの強制的な患者固有HLA拘束性T細胞の作製
 患者さんの血液中には目的のT細胞が検出できなくても、試験管の中で強制的に抗原刺激をしたら、患者だけがもつHLA拘束性のT細胞が作製できるかどうかを検証します。

 <実験4>
 胸腺外T細胞教育機構としての単球およびB細胞キメリズムの推移
 胸腺以外の細胞もT細胞教育を担う可能性があるので、それらの細胞の患者およびドナー由来の比率を明らかにしておこうと思います。

 ※ただし、実験の進み具合によっては、うまくいかなそうな実験は中止して、より有望な実験に集中することはありえます。
 ※なお、この試験によって知的財産が発生した場合、その知的財産権の帰属は患者さんではなく、研究者と研究施設に属します。


(個人情報の取り扱い)
収集したデータは、誰のデータか分からないように加工した(匿名化といいます)上で、統計的処理を行います。国が定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に則って、個人情報を厳重に保護し、研究結果の発表に際しても、個人が特定されない形で行います。
本研究に関する
連絡先
兵庫医科大学病院 血液内科
 池亀 和博(研究責任者)

TEL | (平日 9:00~17:00) 0798-45-6886
          (上記時間以外) 0798-45-6111 (代表)

トップページへ

  1. トップページ
  2. 診療科・部門
  3. 倫理指針に基づく研究情報の公開
  4. 「HLA不適合移植では、患者とドナーが共有しない方のHLA拘束性T細胞は存在するか」に関する観察研究

交通アクセス

最寄り駅
阪神電鉄「武庫川駅」西出口より徒歩5分
住  所
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

外来受付のご案内

受付時間 8:30から11:00
  • 受付は月~金曜と土曜(第1・3)
  • 午後の受付は予約の方のみ
  • 土曜 (第2・4・5)
  • 日曜
  • 祝日 (成人の日、敬老の日を除く)
  • 年末年始 (12月29日から1月3日)
電話番号 0798456111(代表)
月~金曜 8:30から16:45
土曜(第1・3) 8:30から12:30

診療科の一覧を見る

 

よくご覧いただいているページ