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~世界初の試み~ 直腸がん局所再発手術に対するナビゲーション手術システムの導入

~世界初の試み~ 直腸がん局所再発手術に対するナビゲーション手術システムの導入

直腸がん局所再発患者さんを対象とした術前プランニングのナビゲーションシステムを使った様子(兵庫医科大学病院)


兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市、病院長:阪上 雅史)は、2023年9月29日、直腸がん局所再発患者さんを対象とした術前プランニングのナビゲーションをおこなえるシステムを導入しました。
このナビゲーションシステムを使用して、腹腔鏡下にリアルタイムでの位置情報を確認し、精緻な手術を完遂できたことは世界で初めての試みです。
今回の試みにより、治療に難渋することが予想される患者さんの治療成績向上が期待できると考えられます。

本院では、整形外科と下部消化管外科で腫瘍と手術器具の正確な位置を検出し、3次元的に把握およびリアルタイムに画像上に表示することで、より正確で精度の高い手術を提供できる手術用ナビゲーションシステムを今回新しく導入しました。

今回使用したナビゲーションは骨軟部腫瘍領域における腫瘍切除に用いるものを応用したものです。術前に撮影したCT画像を入力し、その画像の任意の平面を表示したり、3Dモデルとしての表示をおこなったりすることができます。

術前にMRIをCTに重ねることも可能なため腫瘍の位置を加味した骨切りの立案・計画が可能です。また術中では、術前に計画されたプランニングに沿って専用器具などをナビゲートすることができ、再現性の高い骨盤骨の切除を通常よりもより正確におこなえることが期待できます。

本院の下部消化管外科は、全国各地より直腸癌局所再発患者さんが紹介となる国内有数のhigh volume centerという位置づけで日々診療にあたっています。直腸がん局所再発は腫瘍に隣接する臓器や骨なども同時に切除しなければならない、侵襲度の高い術式です。また、骨盤内感染症を含めた重篤な術後合併症も高頻度に発生する術式で、全国でも限られた施設でしか施行することができません。予後を改善するためには、手術で剥離した部位は腫瘍から1mm以上のマージンを確保することが重要です。欧米の報告でもまだ1mm以上のマージンを確保できる手術は60-70%程度と報告されています。本院でも78%と決して満足のいく結果ではありません。それを克服するために、この手術用ナビゲーションシステムを活用して局所再発の手術に挑みました。マージンの確保が本当に難しい仙骨や恥骨を切除する再発症例や骨盤壁に接するような骨盤側方再発症例に対して、この手術用ナビゲーションシステムを使用して、腹腔鏡下にリアルタイムでの位置情報を確認し、精緻な手術を完遂できたこと(誤差1mm未満)は世界で初めての試みです。

今回の試みにより、治療に難渋することが予想される直腸癌局所再発の患者さんの治療成績向上が期待できると考えられます。


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